◆彼の地に生きる人々の強さと優しさと ◆被災地バムの人々の暮らし




 かつて、ほとんど知られることのなかった、バムというまち。2003年12月26日以降、ある意味、すごく有名になってしまった。この日の朝方、マグニチュード6.3の地震に襲われ、多くの家が倒壊し、4万人以上もの人々が命を落としてしまった。

 いつ起こるかわからない地震、しかし、この程度の大きさの地震で4万人以上が亡くなるなんて、考えられない。この経験を活かし、将来の地震でこのような被害を受けることのないよう、対策してほしいと切に思う。

 我々は、将来の被害を少なくするための支援がしたい。つまり、防災文化を彼らと共に創っていきたい。この思いから活動を展開している。

 彼らの日常生活の中に防災文化を取り入れていく・・・まずは、彼らの生活を知ることが大事だと思う。今回は、彼らの日常生活のある1日を紹介したい。この何気ない日常生活の中に防災のヒントが隠されているかもしれない。

   

まず、ある家庭を訪問してみましょう。

 2mぐらいはあろうか?高いレンガ作りの塀に、一面囲まれている。すべてレンガなので、中の様子を垣間見ることはできない。入口付近に来た。鉄製の門の上に立派な石造りの飾りがある。立派だけど、不安定に見える・・・。あ、インターホンがあった。「ブー、ブー、ブー・・・」ん〜、何度鳴らしても出てこない。今度は、落ちていた石で、鉄製の門を叩いてみた。すると、家の人が出てきた。「サラマレコン・・・」。どうやら、このインターホン、壊れていたらしい。よーく、見てみると、鉄製の門のところに、石で叩かれたような無数の後が・・・。しばらく、壊れっぱなしで、修理していないようだ。

 室内に上がるとき、靴を脱ぐ。訪問した家で、靴を履いてそのまま上がった経験は、いまだかつてない。そのまま、リビングルームへ通された。すごく広い。また、柱が全くなく、とても開放的な空間だ。屋根も3mぐらいは、あろうか?床には、もちろんペルシャ絨毯が敷き詰めてある。絨毯の上に直接座ってもよかったが、近くにあったソファセットに座るように薦められた。

 リビングの周りを見てみた。大きな家具といえば、高さは2mぐらいあろうか?非常に立派な木製の食器戸棚がある。横幅も3mぐらいはあろうか?装飾もすごくきれいで、すばらしい食器戸棚である。また、壁にいろいろな額が所狭しと飾られている。写真、絵、詩、書道などなど、いろいろなものが額に納められていた。どうやら、彼らは、額に入れていろいろなものを飾るのが好きなようだ。

ところで、午前8時だというのに、家族はほとんど家にいない。それもそのはず。

 仕事や学校の開始時刻は、日本では考えられないぐらいに早い。例えば、銀行は、7時30分から営業を開始する。開店早々から、多くの人々が訪れる。学校も、7時30分から始まる。そう、それまでに、朝の用意や朝食を済ませなければならない。それは、早く起きなければならない。

 しかし、終わる時間も早い。バムでは、大抵午後1時ぐらいになると、いろいろなところ、特に政府機関や銀行は、終わってしまう。学校も11時半頃には、終わる。それから、ほとんどの人が家に帰って昼食をとる。個人商店などは、午後の営業もあるので、これで終わりというわけではないが、それでも、ほとんどの人が、いったん店を閉め、家に帰って昼食をとり、その後、たっぷりと昼寝をしてから、4時頃から営業を再開する。

 つまり、バムでは社員食堂などなく、また、学校でも給食はない。テヘランへ行くと、社員食堂のようなものがあるところもあるようだ。今までに何回か、打合せの後、社員食堂に招待され、昼食ご馳走になったことがある。

 休みは、週1回で、金曜日である。そして、木曜日の午後は、先祖のお墓参りをする人が多く、墓地は、いつも多くの人で賑わう。

 このようなバムの人々、朝が早いからと言って、夜、早く寝ると言うことはない。ほとんどの人が夜遅くまで起きている。例えば、午後4時頃から再開する個人商店、午後9時、10時頃になっても開いているお店が結構ある。この時間まで、買い物をする人がいるのである。また、午後10時頃、真っ暗な中で、自転車に乗ったり、サッカーをして遊ぶ子供も多い。

それにも関わらず、朝、早くに起きる。これはどういうことか?

 おそらく、昼寝をすることで、夜、あまり長く寝なくても大丈夫なのではないかと考えられる。多くの人々が、昼食の後、だいたい2,3時間は昼寝をする。

 このように、バムの人々は、1日のうち、家の中や、その周辺で過ごす時間がとても長い。そのため、防災を考えると、家、そのものや家の中の安全は非常に重要である。また、日本と違い、帰宅難民は発生しにくいとも考えられる。つまり、職場から昼食のために、家に帰れるほど、近くに住んでいる人が多いのである。

 このように彼らの生活パターンや環境を知ることにより、いろいろな場面を想定して、防災対策を考えることができる。つまり、生活を知ることは、防災支援の第一歩なのかもしれない。


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